動きの裏付け

今シーズン(R4)に入ってから「凄く調子いいね」と声をかけられる事が増えた。

私は「冬トレーニング積めたので」と返答している。

結果を安定的に出していくためにはまぐれは存在しない。階段を数段飛ばして飛び抜けた結果を出すこともない。

トレーニングする中で一つ一つの動作や意識というものがどこまで速く走るという行為に対して裏をとれているかが大切。

ただ練習量を闇雲に追いかけて出る結果というのは比較的早い段階で頭打ちが来るし、動きが崩れた時の原因分析や自己修正ができなくなるという悲しい現実が待っている。年齢的な要素もあるが私はそういう闇雲トレーニングを積むことはしない。

私自身が試合で修正できなかった経験をしたというのもある。

私自身大学1年〜4年まで毎年全日本インカレ(学生の全国大会)に出場した経験がある。

大学2年の時に10″50(当時のA標)を突破して挑んだ全国。持ちタイムは拮抗していて自分のパフォーマンスを出し切れるかどうかが肝となる状況の中動きが崩れて予選敗退。

日本選手権でも同じような経験をした。

その大会の準決勝、決勝見て帰ってが自分自身のパフォーマンスを出したい時に出せていれば戦えた事に気づいた。

精神的要素は無論の事、当時の私には何がどう崩れてそうなったのかを瞬時に分析する力がなかった。

そこからトレーニングバランスだけではなく、「動きの裏」を見るようになった。

意識の裏側に現れる結果といったところか。

体調や筋肉の状態、練習でのタイムや角関節角度から得られる感覚と結果を日誌に落とし込んだ。

日誌は陸上を始めた時からつけていたが、ただ練習メニューを書いて感想を書くというものではなく、意識から得られた感覚と数値を残した。

調整についてもどこから調整を開始したはパフォーマンスは最大化できるのかを探った。そういう行動を指標化するという行為で確かな結果が得られたと今でも考えている。

トレーニングがうまく積まれば積める程、意識というのはシンプルな回路にする事ができる。

しかしそこに至るまでにはどうでもいい雑念や本意としない意識の過程を通る事もある。

それも含めて情報としては必要な情報となる。

調子がいい時と悪い時の差を知り、修正する引き出しの幅を増やすことになる。

意識的と感覚的な部分以外に

バイオメカニクス、陸上という枠を超えたトレーニング理論の学習と実践で積み重ねた実績は出したいレースで出したいタイムをアクセル開度とレース構成である程度コントロールできるようになっていった。

そういうトレーニング方法の結果、大3,4では2年連続で4位入賞を果たした。

西日本インカレでは予選、準決勝、決勝すべて10″4台。

出したい時に当時の自身のベストパフォーマンス10″4台をコントロールして出せる領域になっていた。

今年M35 で10″5を連発しているのも別にまぐれとかではなくこの程度であれば出るだろうという動きの裏と感覚、トレーニング構成を持って成し遂げている。

私自身がこういう経験をしている分、教え子には少しでも近道できるトレーニングを教えてあげたいし思考を教えていきたい。

全員が理解してついてくるというのは高いレベルになればなるほど当然難しくなる。

ただ、選手がそういう次元に辿りついたときに私とその選手の経験が合わさればもっともっと遠くにいけると信じている。

スプリントを20年選手としてやってきた経験と修正とトレーニングの引き出し そしてスプリントを続けてきて色んなトップアスリートと関わって得た情報や思考というものをどれだけ次世代に残していけるか。

いずれ本当の高みを見れる選手が現れる事を願いながら私自身もまた自己啓発したいと思う。

本当に何かを成し遂げたいのなら自分で限界を引き上げる術を持つ。

 

焦る事なく

一つまた一つと階段を上がって行ってほしい。

本気で向き合う事と努力の方向性がハマり出せばきっとうまくいく。

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