走りはバランスの上に成り立つ。
短距離を速く走る上での目指すべき動きのゴールとしては、
スタートからゴールまで地面に対してどのように力を加えて歩幅(ストライド)を出し、そのような
キックでピッチを上げていくか。
これに尽きる。
言葉にすれば、そんな単純なことと思うかもしれない。
忘れてはいけないのが、短距離で速くなろうとする過程ではみんなそこの技術・体力トレーニングを追いかけ始めるということ。
スタート局面ではどんなキックがいいのか?
中間以降の局面ではどのようなキックがいいのか?
それぞれに必要な体力(筋力や持久力、瞬発力・・)様々な定義や効率よくピッチを上げるための技術トレーニングが複雑に入り混じっている。
例えば100mを速くなりたいのに、筋力トレーニングばかりしていても技術的な感覚がついてこないと記録に反映することは難しいし、
最低限必要な筋力がなく走練習ばかりしても疾走速度に体が耐え切れずに故障につながったり、
本来やりたい技術を表現できなかったりする。
またそれを一番いい状態でもっていくための精神面・肉体面の成長やコントロールする力。
【例えば筋力トレーニングを行うとする】
筋力トレーニングの方向性・方法論も本当にたくさんある。
ビルダーのようなスロートレーニングで肥大させていくことに対してそこに瞬発力 の要素が抜けていた場合、100mを速く走ることができないでしょう。
肥大させればそれだけ体重が重くなるし各関節・腱にかかる負担も増大する。
また筋量が多いということはそれだけ酸素を消費するということにもなる。
速く走るにおいては筋力×時間という要素が絡んでくる。
瞬発的な時間だけを追求しても成立することはないし、筋力だけを高めても辿りつくことはない。
そのトレーニングのメリット・デメリットを理解して頻度の設定・デメリットを打ち消すための最善のトレーニングを理解しながらトレーニングを設定する必要がある。
ほか技術トレーニング・走練習・柔軟性など様々な要素が絡み合いうまくセッティングしきった選手がハイパフォーマンスに辿りつくことができる。
コーチとしての仕事はその適材適所での練習の緩急や要素の与えかた、またセッティングの材料を
プレゼントすることだと思う。
選手にも要素を与えるべきタイミングがあってあんまりかけ離れたことをやりすぎると意味のわからない方向性へいってしまったりする。
選手の心身の成長によって差が出てくるのは自然なことですが、大体時期によって‥カテゴリによって与える材料を変化させていく。
道筋を示す。
私が今までそうされてきたように。
その精度を高めていくことが、これからの時代に求められる能力だと思いますし
選手としてもそれを吸収するだけの器量を持ち合わせていく必要があるのかもしれません。